上野南部地区人権のつどい 「呉美保さんとのトークセッション」

11月16日(土)13時30分より、上野南部地区市民センターにて、上野南部地区人権のつどい「呉美保さんとのトークセッション」を開催しました。
呉 美保さんは、上野忍町出身の映画監督で、「酒井家のしあわせ」「そこのみにて光輝く」「きみはいい子」「オカンの嫁入り」など数々の映画やCMを製作、活躍しておられます。
この日は、小学校時代の恩師である教育文化部長の米田美紀子さんとのトークセッション、「みんなが笑顔になれますように」で、たくさんの貴重なお話を聞かせていただきました。

◎映画監督になりたかった理由
中学2年生のときに「少年時代」という映画を見て、感情を動かされた。映画ってすごいんだと思った。
◎「きみはいい子」の概要
原作を読み、のめり込んだ。
・学級崩壊させてしまう新米教師
・自閉症の子どもとひとり暮らしの認知症老人との出会い
・親からの虐待を受け、自分も子どもを虐待してしまう母親
の原作5話のうち3話を取り上げた。
◎「きみはいい子」で伝えたかったこと
生きづらい人たちを描写した。どんな人も生きることへの悩みを持っているが、誰かの目で救われる。人は人によって傷つけられもするし、救われもする。
「幸せは、お風呂に入って、晩ご飯を食べて、お母さんに『おやすみなさい』を言うことです。」という自閉症児のせりふがある。当たり前の日常の中にある幸せを感じてほしい。
家族と抱き合うという宿題が出された翌日、学級の子どもたちの様子が変化する場面がある。それを撮る前日に、出演していた子どもたちにも実際に同様の宿題をしてもらってはどうかと教師役の高良健吾さんから提案された。スクリーンの中の子どもたちは、素敵な表情をしており、その場面だけドキュメンタリー作品のようないいシーンを撮ることができた。
子どもたち一人ひとりが、芝居ではなく、家族から見守られている自分を実感できたからこその表情だった。
最後のシーンは、中途半端な終わり方だと思われるかもしれないが、もやもやを残した終わり方で、見る人の心に、ひっかき傷を作りたかった。
◎最近の子どもを取り巻く現実について思うこと
事件として報道されるのは、ごく一部。事件未満のことに目を光らせる必要がある。地域の人が、日常的な暴力暴言をしかるべきところに言葉で伝えてほしい。
たとえ親とうまくできなかったとしても、自分の人生の指針となる人に出会えたら、人生を変えることができる。
◎自分が育ってきた中で親に教えられたこと
生まれたときから、「あなたは韓国人よ。」と言われ、何も恥ずべきことは無いと教えられてきた。そのことで、精神的な図太さを持つことができたように思う。
◎自分の子育てで大切にしていること
毎日、時間に追われ、息子もその道づれにしてしまっている。「ありがとう」「大好きだよ」を言うこと。また、楽しく働いている自分を見てほしい。
◎これからの夢
子どもをもう1人ほしい。映画は待ってくれるが、子どもは待ってくれない。
その後、図太く映画を作り続けていきたい。

市民センターの大広間がいっぱいになるほど、55名の方に参加していただきありがとうございました。
わたしも「きみはいい子」を見ました。新米教師を幼い甥が何度も何度も抱いてくれる場面、子育てがうまくいかず娘を叱っていると、親から虐待を受けながら育ったことのあるママ友に抱きしめられる場面が、特に心に残っています。
子どもは勿論、大人も、温かい言葉がけや、手のぬくもり、体のぬくもり、愛されている確信がほしいのだと思います。
この上野南部地区でも、みんなが目をかけ合い、声かけ合って共生していきたいと改めて思いました。

人権啓発地区草の根運動事業でパネル展も同時開催しました。

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